極楽鳥花の花色の変異(variation)

 極楽鳥花は野生ではオレンジ色ですが、極めて稀に黄色があります。また、この2種類以外は存在しないと考えられてきたと思っておりました。

ところが、それに対しオレンジでもなく黄色でもない、あるいは、黄色にとても近いが若干色が濃いのではないかと思われるものがありました。オレンジにもそのような、若干の違いがあるものが見つかったと考えております。

これは、環境的要因による変異なのか遺伝的なのかなのですが、遺伝的であると考えております。

 

 極楽鳥花の花色は、オレンジと黄色のみで、この2色を交配すると、オレンジが優性で黄色は劣性であると言われてきました。しかし、実際には中間色があるのではないかと考えざるを得ないと思われる事象が時折見かけます。

 

そこで、個々に見ていては区別がつきにくいですが、図1にみられるように比較しやすくすると、どちらともつかない色があることが認められます。

先ず、色々な背景でみると、白の背景ではまさに「中間の色」で、黒の背景では「オレンジより黄色に近い」事が分ります。

更に、透明な背景では、花の透明度も中間であることが分ります。つまり色彩でも透明度でも中間色なのです。




 

 次に、ジャンセアとレギネーでは、中間色なるものが同じなのか違うのかという論点が浮上して来ます。

図2の中間色の花の比較で明らかなように、レギネーとジャンセアの発色の差異は全くないと言えるのではないでしょうか。

このことから、ジャンセアでもレギネーでも同じ遺伝形質が花色を決定していることが分ります。

 

 

 

また、オレンジの花は1つの色しかないと思われていましたが、オレンジの中にもにも変異があることに気付きました。

図3にありますように、黄色の遺伝子が入っているもののオレンジとなったものの中に、明るく感じのする花があります。

この変異はささやかで微妙なので、判別が難しいのですが存在していると考えております。

オレンジ花の改善版のようなものともいえるでしょう。

 

 

 

 しかし、図2の中間色は黄色に近く、図3の明るいオレンジは、当然ながらオレンジに近い。

そこで、もしこの2つの中間色の中間の色がないものかと探しておりましたところ、1株だけその中間の色のものが見つかりました。その株は、ゴールドクレストと一般レギネー(オレンジ)の交配でできたものです。

合計5色の花の色があることがわかりましたので図4にまとめました。

 

 

 以上見てきたことをまとめてみますと以下のことが言えると思います。

  @極楽鳥花の花色は、オレンジが黄色に対し優位にあることは事実としても、不完全優性である(Incomplete Dominance)

  A草姿と花色は関連性がなく別々の独立した遺伝特性である。

  B黄色の遺伝子は花色を明るくし、オレンジの遺伝子は花色を赤く暗くする働きがある

 今後は上記@からBを踏まえ、白い花の探求、赤い花の創作に長期的に取り組む所存でおります。

 

 

遺伝か環境か?

 この花色の比較論議は、同じハウスで同じ時刻に採取した花で行ったものです。色の違いは、花が咲きたてでフレッシュな時と成熟した時点かでも存在します。つまり鮮度の違いが出ないように、フレッシュなものだけで比較しております。つまり、環境要因を排除してありますので、遺伝的要因による色の違いであると考えるべきであります。