何故、やまいもが面白いのか?1、生で食べる芋である ヤマイモは唯一、生で食べられる芋ではないだろうか。 ジャガイモなどのナス科の芋は生では有毒であるし、ヒルガオ科のサツマイモは生食用のものはあるものの熱をとおすのが普通です。 生ですりおろしただけでとろろにして食べられるものは他にありません。 更には、熱帯性の芋は葉が大きいが、若々しい大きな葉は食べられるのです。サラダに入れる人達もいます。 2、人間との関わりの歴史が古い 非常に栽培の歴史が古く、「縄文時代にすで農作物であった」と言われている。 おそらく、この植物が、栽培が簡単であること、また、自然に近い畑であまり耕作を要しなかった事が理由と考えられます。栽培植物としては、米よりも古いのです。 また、中国南西部の雲南地方が原産地のナガイモは、紀元前3世紀ごろから栽培されるようになったとされていま 3、薬効が認められた健康食品であった 日本では、河川から遠く離れた山中の道端などでそこに居るはずのない鰻が、なぜか見つかった時、「山芋が鰻に化けた」という俗説があった。これは、形が似ているということだけではなく、滋養強壮の効果が認められていたからと考えられます。 また、中国では、外皮を除いて乾燥させたものを「山薬」と称し、スープに入れて薬膳料理に使われていたそうです。 つまり、世界ではヤムといわれる山芋は、熱帯、亜熱帯、温帯地域に広く分布し、人々の食糧として健康を支えてきたというすごい植物なのです。 しかし、その割には「自分で作ってみたい」と思う人は少なく、現在は大規模栽培の農家が大半を生産しています。 そこで、多種多様な山芋があるわけですから、自分に合ったものを上手く選び、家庭菜園の友としての楽しみと健康食品を自作するということができるのではないかと考えています。 4、品種名が混乱の極みとなっている 同じ種類の芋でも各地各様の名前があったり、違う芋でも他の地域で使われている名前を重複使用するなど、長い歴史の中で統一性は完全に喪失したのです。 ------ 詳細を見る |
やまいもとはやまいもはヤマノイモ科の植物ですが、世界に10属で約650種が存在し、そのうち約600種がヤマノイモ属(Dioscorea)と言われています。そして、そのヤマノイモ属のほとんどが熱帯、亜熱帯地域に分布しています。 温帯にあるものはほんの数種のみであります。 また、ヤマノイモ科の植物は全般にわたり雌雄異株という共通性があります。 そして、葉の輪郭、花の、種子の作りなどはどの種であってもそっくりで見ただけでやまいもであることが分かります。
ヤマノイモ属はアジア、アフリカ、オセアニア、オーストラリア、南北アメリカなど極めて広域に分布しており、実際に異なる気候環境で育っている。それにも拘らず、外観の同一性・共通性が保たれているのです。 しかし、栽培品種(Cultivar)のレベルでみると、やまいもには実に大小様々な変位があります。 それは主に、地下部分の芋に良く表れております。 そして、各々の品種は地域の特産になったりしますが、そこでの固有の環境とマッチして発展してきたものと言われています。
地上部においては、似たり寄ったりでも、地下部はバライエティーに富んでいるというのは大変面白いが、品質改良が食糧となるイモに集中するのは当然のこととも言えでしょう。 従って、やまいもの善し悪しは、個々の品種レベルまで落として分析評価しない分りません。 通常、栄養生殖で栽培するものの品質改良はありません。しかし、ヤマイモは、そこを敢えて長い年月をかけてイモの性質を変えて今日に至っているのです。 先人に感謝しながら良いものを選びながら毎年栽培し続ける事で、いくばくかの改良をして次世代へと渡すのが義務ではないでしょうか。 |
日本における色々なやまいも日本には食用にされるやまいもと食用にされないものがありますが、後者は全て野山に自生するものでありトコロと呼ばれています。 トコロは、日本に10種ほど自生しています。意外と多くの種があるのですが食用に不向きのためか詳しいことはあまり知られていません。 しかし、一方、実際に食用になるものは、植物学的には4種しかありません。 @ 自然薯 ----------------- Dioscorea japonica いわゆるジネンジョでヤマノイモと呼ばれる A やまいも・ながいも --- Dioscorea batatas 色々な品種がある(ナガイモ、ツクネイモ、イチョウイモ) B 大署 ------------------- Dioscorea alata 大型のイモ、熱帯亜熱帯性、日本では九州南部以南で栽培 C トゲドコロ ---------------- Dioscorea esculenta 味、滋養性が高評価だが、沖縄でごく一部の人達が栽培 し地産地消状態である。 先述のように、このイモの多品種化が交雑によって実現したというよりは、種芋を毎年繰り返し選抜することにより、半ば無意識的に良品を翌年の種イモとしたために、改善に次ぐ改善がなされ、今日に至っているのです。 |
日本におけるヤマイモの歴史と現状 |