ストレリチアの種類とその性質 |
《ストレリチアの種類》 ストレリチア(strelitzia)には8つの種がありますが、そのうち6種が南アフリカ原産であり、全てがストレリチア属の植物です。 ストレリチア属のストレリチアは大きく分けて、有茎種と無茎種に分けれています。
(有茎種) 有茎種は、背の高い10mくらいのものですから、特別なハウス以外では栽培は出来ずめったに目にする事はありません。 日本では、苗の状態で鉢植えにし、大きくならないようにして観葉植物として利用されているものがあります。 それは、流通名でオーガスタ(augusta)ですが、正式な種名はニコライ(nicolai)であります。 ストレリチア属の中では、成長が最も早く育てやすいので観葉植物として多く見受けられます。
このほかにも有茎種には、コーダータ(caudata)とアルバ(alba)がありますが、日本で見かけることはありません。
(無茎種) 無茎種には、切花でよく見かける極楽鳥花(Bird of Paradise Flower)と呼ばれるレギネー(reginae)や、葉がないノンリーフ(non-leaf:和製英語)と言われるものがあります。いずれも綺麗な花を咲かせますので極楽鳥花と言えます。 また、レギネーには黄花のものがあり、君子蘭と同様、希少価値があるため(あったため)、特別にマンデラズ・ゴールド(Mandela's Gold)と名づけれています。 (--かつてはKirstenbosh
Goldという名前でした--) また、日本ではノンリーフという「グループ」があります。その中にジャンセア(juncea)いう種名の葉がなく地上部が棒針状となっているものがあります。 ジャンセアはレギネーが水不足や寒さなどのより厳しい環境に適応するために進化してできたものといわれています。 ノンリーフには、もう一つ、レギネーとジャンセアの中間種のパービフォリオ(parvifolia)があります。これには、小さな葉があり、棒状の葉茎が長いシャープな姿をしています。
(新品種の作出) 無茎種、即ち極楽鳥花において、画期的な育種開発が1980年代に 行われました。 それは、ストレリチア原産地南アフリカ共和国にて極めて優れた黄花レギネーの原種を見出し日本で親株として育成し、そしてそれをベースとした素晴しい極楽鳥花の開発でありました。 先ず最初に黄花のレギネーゴールド・クレストが作出されました。 ついで、ゴールド・クレストの良さを生かし、優れた橙花レギネーの作出に成功されオレンジ・プリンスと名づけられました。 以上がレギネーに関する品種開発の概要ですが、南アフリカ共和国よりジャンセアの非常に美しいオレンジの花を咲かせる原種も導入されました。これにより、ジャンセアのみならずパービフォリアのレベルも、格段に向上していると考えられます。 更に、2007年頃にパービフォリアの黄花の作出が開始され、開花を見ております。 これも苞の発色が淡いといった共通性があり、1つの黄花パービフォリアの系統と言えましょう。 (ストレリチアの分類のまとめ) 以上、現在存在するストレリチアを分類しますと以下の表のようにまとめられます。 黄花のジャンセアは、大変希少でありますが、コア・ブリードにて原種を取得致しました。 原種は2種類ありますが、1つは大変綺麗な花を咲かせます。他の一つは成長力の強いものです。 黄花ジャンセアの原種は、この2つしか発見されていないのが現状です。 いづれにしましても、今後黄花ジャンセアの国産化が可能になりましたし、パービフォリアも格段に変化、改善するものと思っております。 (新しい種の発見) また、最近、レギネーの亜種、Mzimvubu craneflower(Strelitzia reginae subsp. Mzimvubuensis)が発見されました。 この亜種の自生地は、半木陰であり日光が相対的に少ない場所です。 このことから、室内での栽培が可能になるのではないかという説があります。 庭植えが寒さで困難であるとか住宅事情のため日射量が限定されている日本では、これが一種の突破口になるのではと期待したくなります。 《ストレリチアの性質》 ストレリチアの特筆すべき性質として個体差の大きいことが挙げられます。ニコライの場合、観葉専門ということもあり気になりませんが、極楽鳥花の場合、葉の形、草丈、花立ち、花の大きさ、苞・花首・萼の発色などが、親が同一であっても色んなバリエーションがでます。 一昔前は、この個体差の問題とともに、大半が素朴な極楽鳥花であり美しい株を入手することは極めて難しいことであり、それが正に問題でした。 ストレリチア原産地南アフリカ共和国から優秀な原種が導入されてから事情が改善しました。 即ち、極楽鳥花が「底上げ」され、優秀な株の入手がに現実的になってきたのであります。個体差は依然としてあるものの、大半が一定レベルを超えるものが作れるようになりました。
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